彼女は猫を飼っていた。名前はリショ(Rišo)。
自分の世界の、静かな支配者。ときには近くで丸くなることもあった。めったにない温もり。短いけれど、本物だった。別のときには、遠く、触れられない存在として通り過ぎていった。彼は誰のものでもなかった。本当の意味では。
彼女が去ると、彼も去った。私は彼を自分のものだと言ったことはないし、本当に手にしたこともない。それでも、彼は残っている。記憶の片隅に、かつて何かがあった静かな場所に。
リショ、どこをさまよっていても。野生のままで、自由なままで。君は私のものではなかったけれど、私は君を覚えている。




